【電磁気学】最短でMaxwell方程式【最短コース】

【電磁気学】最短でMaxwell方程式【最短コース】

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■はじめに

何かを独習するとき、その分野の全体像や相対的な進度が感覚的に理解できず、モチベーションを維持するのがむつかしくなることがある。そのため、ここでは物理を独習したい人や、復習をしたいという人が、学習を進めるうえで1つの指針とできるよう、Maxwell方程式の数学的構造の理解に必要な最小限の物理および数学の知識をまとめて示す。

Maxwell方程式は、大学の物理学科や工学科の学生が初年度に学ぶようなものなので、数学的なレベルとしては高校の内容からそれほど離れているものではない。またMaxwell方程式の数学的構造を理解するのに必要な数学は物理学を学ぶ上で必須のものばかりなので、Maxwell方程式を理解するのに必要最小限の数学をまとめたものは、必然的に物理学を学び始める上で必要な数学の集まりとほとんど一致する。

しかしそれでも、物理学科の学生などは、力学の勉強もあるし、数学もその後の応用に必要な部分まで学ぶ必要がある。そのため、Maxwell方程式の理解だけを目標にするなら、そういった部分をごっそり端折ってしまうことで、さらにコンパクトなカリキュラムを組むことができる。

そこで、以下で最小限必要な知識を解説した記事への案内を並べる。各記事の内容はより良い理解の助けとなるよう不定期に加筆・修正する。

■Maxwell方程式とは

まず、そもそそもMaxwell方程式とは何なのかについて簡単に触れておこう。Maxwell方程式は以下の方程式のセットのことを言う。
微分形: \begin{align} \notag \nabla\cdot\bm{E}=&\frac{\rho}{\varepsilon_0} \\ \notag \nabla \cdot \bm{B}=&0 \\ \notag \nabla\times \bm{E} =& -\frac{\pd \bm{B}}{\pd t} \\ \notag \nabla \times \bm{B} =& \mu_0 \left( \bm{j} +\varepsilon_0 \frac{\pd \bm{E}}{\pd t} \right) \end{align}

積分形: \begin{align} \notag \int_{S}^{\ } \bm{E} \cdot d\bm{S} =& \frac{q}{\varepsilon_0} \\ \notag \int_{S}^{\ } \bm{B} \cdot d\bm{S} =&0 \\ \notag \oint_C \bm{E}\cdot d\bm{l} =&- \int_S\frac{\pd \bm{B}}{\pd t}\cdot d\bm{S} \\ \notag \oint_C \bm{B}\cdot d\bm{l} =& \mu_0 \int_S \left( \bm{j} +\varepsilon_0 \frac{\pd \bm{E}}{\pd t} \right) \cdot d\bm{S} \end{align}
これらは、電場$\bm{E}$と磁場$\bm{B}$の性質を記述しており、電磁気学の基礎方程式となっている。微分形と積分形2種類の書き方がなされているが、それぞれ上から順に同じ内容を記述する方程式となっている。

電磁気学はこれらの方程式を最小限の必須要素として、電気や磁気に関連する様々な現象を解析する分野であるため、Maxwell方程式の導出はゴールではなくあくまで出発点であることを心に留めつつ、学習を進めてもらいたい。

■基礎知識

Maxwell方程式は微分あるいは積分を用いて書かれている。上の$\nabla$という記号や$\pd/\pd t$が微分演算に、$\int$を含んだ項が積分に分類される。そこでまず出発点として、以下の必要となる基本的な数学知識を学んでもらう。
上の微分積分は、1変数のケースに関するものであるが、例えば2次元平面上や3次元空間内での対象を解析するためには、それぞれの空間変数に依存する関数を扱う必要がある。そこで
についても理解しておく必要がある。上に現れる$\pd$という記号が偏微分を表しており、$\nabla$も展開すると中身は偏微分記号の集まりになっている。

■ベクトル場の演算

電場や磁場は、数学的にはベクトル場という概念を用いて記述される。そのため続いては
において、ベクトルおよびベクトル場とは何かということを学ぶ。その後、ベクトル場の構造を記述するため
を学ぶ。ここで$\nabla$や$\nabla \times$という記号の詳細が理解できる。そして多変数関数の積分
によって、$\int d\bm{l}$や$\int d\bm{S}$がどのような計算を指示する表現なのか学ぶ。これらの知識を用い、以下でベクトルの微分演算の物理的イメージと、多重積分に関する重要な定理を2つ学ぶ。
これにより、Maxwell方程式が微分形と積分系2つの形に書かれる理由がわかる。

■Maxwell方程式の導出

あとは、これまで学んだ知識を利用して求める方程式を導くだけだ。
まず
で、電磁場の発散に関する2式(微分形および積分形それぞれ上から2つの式)を
で電磁場の回転に関する残りの2式を導く。


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