【力学】振り子の運動

【力学】振り子の運動

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光の波振り子。説明は記事の最後で。


■はじめに

典型的な運動の例の一つとして、振り子の運動を考える。 振り子の特徴の一つは、その周期が重りの質量によらず、それをぶら下げるひもなり棒なりの長さで決まるということだ。 この性質を使うと、長さの違う振り子を並べることで、トップ画のような、興味深い波打つ振り子のオブジェを作ることができる。

以下では、その性質を数式を用いて示すが、細かい数式には興味がなくて、この波振り子の仕組みだけ知りたいという方は、記事の一番下まで飛ばしてほしい。



■運動方程式

重さを無視できる長さ$l$のひもにつるされた質量$m$の質点を考える。振り子の支点の位置を原点$O$とし、その真下を角度座標の原点に取ると、そこから$\theta$振ったときの質点の位置は、円弧に沿った距離 \begin{align} \label {seq} s=l\theta \end{align} で指定できる。 また円弧の沿って、この位置にある質点にかかる力は \begin{align} \label {feq} F=-mg \sin{\theta} \end{align} であるから、運動方程式は \begin{align} \label {eqF} ml \frac{d^2 \theta}{dt^2}=-mg \sin{\theta} \end{align} となる。$l$は変化しないので微分にかからないことに注意。




ここで、$\theta$が小さければ、$\sin{\theta} \simeq \theta$と近似することができる。ピンとこない人は、物理の世界にようこそ、ということで、以下の図を見て納得してほしい。

$y=\sin x$において、$x$が小さい部分にフォーカスすると$y=x$と近似的に等しくなる。

とにかく、そうすると方程式(\ref{eqF})は \begin{align} \frac{d^2 \theta}{dt^2}=-\frac{g}{l} \theta \end{align} とできる。これは \begin{align} \omega=\sqrt{ \frac{g}{l}} \end{align} としたときの単振動の方程式であるから、解は \begin{align} \theta(t)= A\sin{\left( \omega t + \theta_0 \right)} \end{align} の形に得られる。


■振り子の周期と等時性

位相が$2\pi$変化するごとに元の状態に戻るわけだが、$\omega$は位相の変化の速さを表す定数なので、それに周期$T$をかけたものが$2\pi$に等しくなる。 これより、周期$T$が \begin{align} T=\frac{2\pi}{\omega}=2\pi \sqrt \frac{l}{g} \end{align} と求められる。この式を見ると、振り子の周期に振れ幅や質量は関係ないことがわかる。 重力加速度は一定なので、ひもの長ささえ決めれば周期も決まることがわかる。 これを、振り子の等時性という(もちろんこれは、$\sin{\theta}\simeq \theta$の近似と同程度のレベルでの話である)。


■波振り子

改めて説明すると、振り子の周期は実質的にぶら下げるひもの長さだけで決まる。 そのため、長さの違う振り子を並べると、それぞれが異なる周期で振動する。

例えば10個の振り子を、1つ目は1分で50回、2つ目は1分で51回...10個目は1分で59回行って来いするように調節すれば、1分たったところで改めて全部が同期するようにできる。その途中でばらばらな運動をするが、うまく周期が合うと、興味深いパターンが生まれる。




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