【電磁気学】テスラコイル

【電磁気学】テスラコイル


■概要

19世紀から20世紀を生きた天才発明家二コラ・テスラ(Nikola Tesla)は、電線を使うことなく世界中に電力を供給することを夢見ていた。その研究の過程で生み出されたのがいわゆるテスラコイルである。テスラコイルとは、共振によって高周波・高電圧を発生させる装置のことで、空中に向かって放電することが出来る。

テスラコイルから放たれるのは稲妻と同様のプラズマである。通常、空気は電流を流さないのだが、非常に強い電圧がかかると電流が流れる。また、放電の際に放たれる音を利用して音楽を奏でることもできる。



■仕組み

テスラコイルが強力な電圧を実現できる秘密は、通常の変圧器に用いられている仕組みと、共振という現象を利用していることにある。

まず、変圧器の基本的な仕組みから見てみよう。変圧器は、鉄心に二つのコイルを巻いたもので、電磁誘導の性質を利用して電圧を変換するものだ。電流が流れると磁場が生じ、磁場が変化すると起電力が生じる。このとき、コイルの巻き数が多いほど起電力も大きくなる。

コイルを貫く磁場を$\Phi_B$、コイルの巻き数を$N$とすれば、誘導起電力$V$は \begin{align} \label {eqV} V = -N \frac{d \Phi_B}{dt} \end{align} と書ける。理想的な装置では貫く磁場はどちらコイルも変わらないため、一次コイルの巻き数と電圧を$N_1$および$V_1$、二次コイルの巻き数と電圧を$N_2$および$V_2$とすれば \begin{align} \frac{V_1}{V_2}=\frac{N_1}{N_2} \end{align} の関係が成り立つ。これを変形することで \begin{align} V_2=\frac{N_2}{N_1}V_1 \end{align} となり、巻き数の比を調整することで、自在に電圧を変換できることがわかる。テスラコイルは、一般にこの巻き数の比が100程度のオーダーになる。

もう一つは共振という現象を利用したもので、以下の動画で説明されているように、振動する物体は固有の振動数を持っており、その振動数に合わせて働きかけることで、エネルギーを送り込む効率が一気に増大する。

テスラコイルは、これらの現象を効果的に利用することで高電圧を実現する。その時の電圧は、中性状態を保っている空気をプラズマ化して放電するのに十分で、劇的な稲妻を見せてくれる。コイルの振動数を調整することで、この時に発生する音波の振動数を変化させ、音楽を演奏することもできる。実際、以下のようにオーディオグッズとしても売られている。


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