Q. 最もコストがかかるのはどれでしょう?

Q. 最もコストがかかるのはどれでしょう?


Q. 以下の4つのうち、最もコストがかかるもの(かかったもの)はどれでしょう?

  1. イベント・ホライズン・テレスコープによる初のブラックホールの画像撮影
  2. 国際宇宙ステーションの運用
  3. 水素の反物質、反水素1グラムの生成
  4. 有人火星飛行(見積もり)
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A. 答え


安い順に並べると

4.  A. イベント・ホライズン・テレスコープによる初のブラックホールの画像撮影

世界13か国、200人以上の研究者による国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」による世界初のブラックホールの画像撮影にかかった費用は、6000万ドルほどと報じられている。日本円で60億円ほどだ。

3.  B. 国際宇宙ステーションの運用

2011年に完成した国際宇宙ステーションの建設費用は400億ドルであり、運用にかかった費用は2015までで1,500億ドルと言われている。日本円で約15兆円だ。運用は少なくとも2024年までは続けられる

2.  D. 有人火星飛行

初の有人火星飛行はまだ様々な課題があり、見積もりも頻繁に変動するが、現在の見積もりでは5000億ドルとも、1兆ドルともいわれている。だが、専門家はそれは都市伝説であり、実際は1000億ドルほどに収まると述べている

とりあえずここでは、1兆ドル、日本円で100兆円規模を上限とみなしておこう。

1.  C. 水素の反物質、反水素1グラムの生成

上の膨大な費用の掛かるプロジェクトを差し置いてトップに立つのは、反水素の生成費用だ。反水素は、電子の反粒子である陽電子と、陽子の反粒子である反陽子からなる水素の反物質である。1999年のNASAの見積もりでは、1グラムの反水素を作るのに、62.5兆ドル、現在の価値では94兆ドルかかるという。

だが、これまで人為的に生成されている反物質の総量は数ナノグラム(1ナノグラムは1グラムの10億分の1)程度であり、実際にそれだけの費用を使って反物質が生成されているわけではない。

反物質を大量に生成するために、コストの抑えた生成方法が日々研究されている。

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さて、一部の科学研究にこれだけの規模の予算がつぎ込まれていることについてあなたはどう考えるだろうか?

「知識的探求は他には代えがたい最上の営みである」とか、「技術の進歩は社会に還元される」、と言うことは簡単だが、それらの恩恵にあずかるのもほんの一部のヒトだけであり、現在地球上で苦しんでいるヒトを含めた数えきれない動物たちの大半にとっては、結局なんの救いにもならない。

例えば、国連による発表では、2016年の飢餓人口は8億1500万人に達しており、6秒に1人の子供が、その飢餓によって命を落としている。2050年には、この飢餓人口は(このままのペースで人口が増加するのならば)20億人増加するとも予測されている。このことを考えたら、優先すべきことが他にあるのではないだろうか。

もちろん、科学研究、あるいは学術研究全体で見たら、ここで扱った研究より先に予算配分を見直されるべき分野や特定の研究は数多くあるだろう。

科学的知識の向上は素晴らしい感動や喜びを与えてくれるものだが、それを含め、ヒトを含めた動物の行動は、基本的には苦しみを避け、喜びを追求することに動機づけられる。

もし、知的好奇心を満たしたいという不足感も含めた「苦しみ」をもっと根本的に取り除くことに優先的に力を入れれば、結果として私たちの満足感も向上するだろう。



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